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2021年03月12日

症例63 肩の動かしにくさ・痛みでお困りの男性

症例


今回は五十肩による肩の動かしにくさ動作時の痛み夜間の疼きでお困りの患者様の症例です。




目次



  1. 患者様について

  2. 西洋医学的見解

  3. 東洋医学的見解

  4. 治療方針

  5. 治療経過

  6. 施術者の思い


 




患者様について





I様 50代 男性





施術を受ける半年前から、徐々に肩を挙げる動作で痛みが出るようになった。ここ最近は痛みが少し落ち着いているが、可動域が少なくなり動かしづらい。夜間は寝返りの痛みで目が覚めてしまうという症状でした。







西洋医学的見解





まず、五十肩の治っていく過程の解説をします。





炎症期…初期の状態で肩の筋肉が強く炎症を起こした状態。肩を動かすと、とても痛い。夜間に痛みで眠れなかったり、目が覚めたりする。





拘縮期…筋肉が固まり、動かす時の痛みはあまり無いが、可動域が小さくなりとても動かしにくくなる。筋肉の炎症が引き、夜間に痛みで目覚めにくくなる。





緩解期…筋肉の固まりが減り可動域が少しずつ回復していく。 自然治癒でも回復が進む段階。





通常はこのような回復過程をしていきます。





I様の場合は肩の可動域は前方挙上(前から上に上げていく動作)が180°と正常、側方挙上(横から挙げていく動作)が120°側方挙上時に痛みが走るという状態でした。





夜間は寝返り時の痛みもあり、1・2回は目が覚めるとのことでした。





ただ挙上時の強い痛みはあまりなく、どちらかというと固まって上がらないという感じでした。





このことからI様は、現状では拘縮期に移行しているところであると推測できます。(やや炎症が残っているので夜間の寝返りの痛みが出る。)





発症から半年の間に炎症期から拘縮期へゆっくりながら回復していったものと思われます。







東洋医学的見解





脈は右側が沈んで細く、左側が細くて丸い、目や肩の筋肉へ上手く血液を流せていない反応が出ていました。また、身体の回復力を示す反応も弱くなっていました。





舌は、歯型があり、白い苔がある状態でした。





沈んで細い脈はや舌の歯型は、この場合胃腸の冷えが原因で働きが鈍くなり、栄養のある血をあまり作れていないということを示します。





丸い脈や舌の白い苔は胃腸の消化吸収の働きが鈍いため、食べ物や消化された後の栄養が胃腸で停滞してしていることを示します。





筋肉が柔軟性を保つためには、タンパク質や糖質などの栄養が必要です。この栄養をもとに、古くなった筋肉を新しく柔らかい筋肉に作り変えています。





しかし、I様は栄養は摂っているけど、胃腸の消化吸収機能が鈍くなっているため、食べ物の栄養変換が遅くなり結果、十分な栄養を筋肉へ与えることができず、筋肉は硬くなり痛めやすくなっていると推測しました。







治療方針





身体を温め、胃腸の消化吸収を促しやすくする…足の甲のツボ





肩の筋肉に栄養を運びやすくする…膝の内側のツボ





肩の筋肉を緩める…肘のツボ





こちらのツボを主に使って、回復を促すようにしていきました。







治療経過





治療は1週間に1回のペースで開始。





1診目:身体を温めて、胃腸の消化吸収を促し、肩の筋肉に栄養を運び傷ついている筋肉の回復が進みやすいように施術。可動域は前方挙上180° 側方挙上120°、夜間の肩の痛みあり。





2診目:可動域は前方挙上180° 側方挙上120° 炎症が落ち着き始め、夜間痛がだいぶ引いて眠れている。





3・4診目:可動域が向上 前方挙上180° 側方挙上145° 夜間痛はなく眠れている。早くも拘縮期が終わりにさしかかり緩解期へ移行し始める。ここまで1カ月。





5・6診目:可動域が向上 前方挙上180° 側方挙上160° 完全に緩解期へ移行。





7・8・9診目:可動域やや向上 前方挙上180° 側方挙上165° 徐々に可動域がもとに戻りつつある。





10診目:可動域が向上 前方挙上180° 側方挙上175° ほぼ通常の可動域に回復。





11回目:前回同様の可動域をキープ。日常生活にほとんど支障がないとのことで、今回で治療は終了卒業となりました。約3ヶ月でのほぼ完全回復となりました!





I様の場合は一番痛みの強い炎症期ではなく、固まり始める拘縮期からのスタートでした。そのためほぼ完全な回復に至るまでかなりのスピードで進めることができました。







施術者の思い





五十肩における鍼灸治療の醍醐味は、回復までの速度をぐっと早めれることにあります。こちらの患者様の場合は、比較的回復に時間のかかる拘縮期を約1カ月で乗り切ることができました。(通常は平均で2カ月くらい。自然治癒だと程度にもよるが半年くらいかかる。)





通常の五十肩治療は炎症期の一番痛い頃から、拘縮期から緩解期へ移行して自然に回復できるところまで行うのが一般的です。I様の場合はご本人の希望で、拘縮期から緩解期の後半まで治療を行いほぼ完全に可動域が回復するところまでするという特殊な症例でした。結果、完全回復まで3ヶ月というかなりの速度で回復して頂くことができました。(拘縮期・緩解期から完全回復までは自然治癒で約半年から1年かかります。)





このように五十肩はどの期間から治療を行っても回復までのスピードが2倍から3倍速くなるということがよくわかる症例でした。


要鍼灸院 とみお院

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